JET ROLLERS IN SCANDINAVIA

SMACK
TITLE
THE COLLECTION - STATE OF INDEPENDENCE
JACKET
REVIEW
 Hanoi Rocks同様フィンランド出身のTrash Punkバンド、Smackが'84〜'86年に残した音源を集めた編集盤。
 カバー曲にStooges,Stones,Doorsらの曲を選ぶセンスからしても伺い知れるように、彼らのデトロイト・サウンドとパンク、そして適度にハードロック・テイストをミックスしたダークで哀愁漂う音楽性は、Dead Boys,Lordsとの共通性を感じさせ、文句無しに格好良い。特に故Claudeの絡みつくような歌声はStiv BatorsやTylaを彷彿とさせ、個人的にはかなりの好みである。
 もし難を言うとすれば、Hanoi,Lordsらが持ち合わせていた印象的なコーラスと個性的なギタリストが不在な為、曲がやや単調に聴こえてしまうところか。
D.A.D
TITLE
NO FUEL LEFT FOR THE PILGRIMS
JACKET
REVIEW
 Smackからの少なからぬ影響をメンバー自身が語るデンマーク出身のバンド、D.A.Dの3rdアルバム。('89年発表の今作は世界的なヒットを記録した。)
 何かとHR/HMシーンの中で語られることの多い彼らだが、マカロニ・ウエスタン調のギターフレーズとJesperの枯れた粘着質ボーカルが哀愁の色彩を強める、繊細さとパンキッシュさが同居するサウンドは頭の足りないマッチョなバンド群には到底出し得ない個性的なものであった。特にヒットシングル「Sleeping My Day Away」は彼らの魅力が凝縮された名曲で、聴き手を土埃が舞う哀しみの荒野へと誘ってくれる。
UNION CARBIDE PRODUCTIONS
TITLE
IN THE AIR TONIGHT
JACKET
REVIEW
 今をときめくHellacoptersもリスペクトするというスウェーデン出身のUnion Carbide Productionsが'87年に発表した衝撃の1stアルバム。
 Iggyを更にひねくれ、荒くれさせたようなボーカルと狂気的なファズ&ワウギターを中心に展開されるハイエナジーな暴走サウンドは間違いなくデトロイト・サウンドをルーツとするもので、「'90年代のStooges」と呼ばれたのも納得できる。しかしながら直球勝負ばかりではない。混沌とした狂気を感じさせるアヴァンギャルドかつサイケデリックな風情の曲も数曲収録されている辺りにまた彼らの凄みを感じる。
 とにかく体力、気力ともに万全の時にしか向き合えない、八方破れなパワーに満ち溢れた快作である。
UNION CARBIDE PRODUCTIONS
TITLE
FINANCIALLY DISSATISFIED PHILOSOPHICALLY TRYING
JACKET
REVIEW
 '89年発表の2ndアルバム。
 過激な暴走サウンドは後退気味ながら、テンポを落とした曲においてもアコースティックギター、シタール等を効果的に使うことにより凍てつくような緊張感を創出する事に成功している。特に「Down On The Firm」,「Career Opotunities」に見られるその荒っぽくも詩情溢れる世界観はまさに彼らの新境地といえよう。
UNION CARBIDE PRODUCTIONS
TITLE
FROM INFLUENCE TO IGNORANCE
JACKET
REVIEW
 '91年発表の3rdアルバム。
 音楽性の変化は更に加速度を増し、今作ではもはや破天荒な暴走サウンドは皆無に近いが、決して去勢されてヤワになってしまった訳ではない。楽曲的にバリエイションを増し、悪く言えばサウンドの統一性が薄まったものの、デトロイト・サウンドばかりか、'60sガレージ全般(特にStones,Doorsの影響大!)を貪欲に吸収し尽くして、濁流のように吐き出したヘビーガレージ・サウンドの数々からは相変わらず危険な緊張感が漂っている。  
UNION CARBIDE PRODUCTIONS
TITLE
SWING
JACKET
REVIEW
 '92年に発表されたSteve Albini(ex. Big Black,Rapeman)プロデュースによる4thアルバムにしてラストアルバム。
 今作では基本的には前作の延長線上にあるミディアム・テンポで聴かせる、やや捻れ加減なヘビーガレージ・サウンドを展開。狂気が奥底に潜むダークな世界観は従来通りだが、初期の彼らが発散させていた突き抜けたハイエナジーさのみならず、時折見せていた裏ぶれた哀愁感までもが失われてしまったのは寂しいところ。
THE 69 EYES
TITLE
MOTOR CITY RESURRECTION
JACKET
REVIEW
 Andy Mccoyとの交流を知られる69 Eyesが'90〜'94年に残した音源を集めた編集盤。(Stooges,G.G.Allin,Kissのカバーを含む全14曲入。)
 現在はゴシックな方向へとその音楽性をシフトしている彼らだが、この時期の彼らはフィンランドの"Kings Of Sleaze"と呼ばれたのも頷けるHanoi〜Smack系譜のグラマラスでハイエナジーなサウンドをブチかましてくれている。特に楽曲、演奏、コーラスワークを含めたアレンジ面での充実振りには目を見張るものがあるが、余りに商業ハードロック的なサウンド・プロダクションが彼ら本来のワイルドな魅力をスポイルしてしまっている感じがして非常に残念である。
HYBRID CHILDREN
TITLE
STARDOM IS HERE
JACKET
REVIEW
 フィンランド出身のHybrid Childrenが'99年に発表した5thアルバム。(Lordsカバー「Method To My Madness」を収録。)
 パンク、グラム、スラッシュ、メロコアまで雑多に吸収したヘビーでラウドな音楽性を持つ彼らだが、意外にもメロディーライン自体はかなりポップである。しかし、メタリックなトーンでザクザクと切り刻むハード一辺倒なギターが好みでないのと、R&R指数が低めなのが個人的には物足りない。また全編を通して突出した出来の曲が存在しないのも痛いところ。(「Burn」はHanoi風スリージーな魅力のある佳曲ではあるが・・・。)
BACKYARD BABIES
TITLE
DIESEL AND POWER
JACKET
REVIEW
 Hellacoptersと並び昨今の北欧爆走R&Rシーン隆盛の礎を築いた最大の功労者であるBackyard Babiesが'94年に発表した1stアルバム。
 冒頭から渋いアコースティック・ギターによるスライドが登場したり、曲によってはホーンやハモンド・オルガンを導入したりと、スウェーデン出身のイケてない長髪野郎どもはイキがりながらも懸命に音楽的挑戦を試みている。しかしながら、サウンド面での一貫性は残念ながら希薄であり、その演奏力、表現力ともにまだまだ未熟な為に全般的に迫力不足の感は否めない。
 ただし、成長途上にあったバンドが残した未完のサウンドこそが、NickeDregenの非凡なソングライティング能力と育ちの良さを感じさせる音楽的バックボーン(Guns N'Roses,Ramones,Dogs D'amour等への隠せはしない素直な憧憬はひたすら初々しく、微笑ましい限り!!)、そしてNickeの魅力的なボーカルをより際立たせているのも確かであり、今作を愛すべき好盤たらしめている。
BACKYARD BABIES
TITLE
TOTAL 13
JACKET
REVIEW
 バンドの評価を決定的なものにし、世界進出の足がかりともなった大傑作2ndアルバム。('98年発表。日本盤化にあたり4曲を追加した全17曲入。)
 グラム、パンク、ガレージ、ハードロックとまさにいいとこ取りな楽曲群は元々キャッチーなところ、完璧なプロダクションを施すことによってライブ感溢れるド迫力サウンドを獲得することに成功しているが、そこには4年の歳月を経て着実に成長したメンバー達が強固に結束した姿が見て取れる。(Nickeの一皮むけた荒々しいボーカルも素晴らしいが、何と言ってもDregenの成長は著しく、何を弾かせても得意のトリル技に強引に持ち込む愛すべき偏執狂的ソロはスリリングであり、文句無しの格好良さ)
 とにかく、徹頭徹尾前のめりなスピード感で疾走する、毒々しくも破壊力満点のTrashパンク(あくまでロケンロー!!)のオンパレードにはただただ圧倒されるばかりである。(M.Monroeがイジり倒したとされる「Rocker」が最も平凡な出来に思えるのは気のせいか!?)
BACKYARD BABIES
TITLE
SAFETY PIN & LEOPARD SKIN
JACKET
REVIEW
 バンドの勢いそのままに、2ndアルバムリリースから間髪入れずに発表された'98年4月のロンドンでのライブ音源6曲にスタジオ音源3曲を加えたアルバム。
 まずはライブ音源だが、その不敵なほど自信満々なステージングの様子(ノリノリ!!)には、彼らが幾百ものライブを重ねながら着実に成長してきたバンドであることを再認識させられる。(と同時に、傑作2ndアルバムがいかにライブ感溢れる出来映えであったかも思い知らされる。)
 またスタジオ音源ではGinger(ex. Wildhearts)が参加したFaster Pussycatカバー「Babylon」に注目が集まるところだが、個人的にはDregenのブルース・フィーリングも感じさせるギターが印象的な、土埃を上げながら疾走する奇跡のハイエナジーR&R、「Backstabber」が今作中の最大のハイライトである。
BACKYARD BABIES
TITLE
MAKING ENEMIES IS GOOD
JACKET
REVIEW
 大手BMGから'01年に発表された3rdアルバムにして個人的には大いなる問題作。(Ginger,Tylaとの共作曲を含む13曲に2曲のボーナストラックを追加した全15曲。)
 成功への野心を燃やすこと自体を否定はしないが、前作での魅力であった毒々しさ、スピード感、ハイエナジーさが見事なまでに後退したこの凡庸と呼ぶのがふさわしい楽曲群はどうだろう。個人的にはこれまで彼らの順調な成長過程を両手を挙げて支持してきただけに、今作の脱線振りには正直複雑な心境だ。近い将来に純度100%の新作を引っさげて汚名返上を果たしてくれることを切に期待したい。
HELLACOPTERS
TITLE
SUPERSHITTY TO THE MAX !
JACKET
REVIEW
 スウェーデンのデスメタル・バンド、Entombedの凄腕ドラマーであったNickeがBackyard BabiesのDregen等と結成したHellacoptersが'96年に発表した1stアルバム。(国内盤にはMisfitsカバー「Bullet」を追加収録。)
 Stooges,MC5,Heartbreakers,Motorhead,Kiss等から影響を受けたというそのひたすら粗暴で騒々しいサウンドは、流石北欧爆走R&Rシーンの雄と呼ばれるだけあって破壊力満点であるが、個人的にはややToo Muchな感じか。しかしながらノイズの隙間から敬愛する先人達への素直な憧憬が随所に見て取れて微笑ましい。(「Chinese Rocks」風リフ&Uh-Ahのかけ声が登場するかと思えば、何と「Kick Out The Jams」へと雪崩れ込む寸前のマザー・○ァッカーなアジテーションまで再現!!)
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